不動産の現在と将来の収益性である。ある大手企業の別荘があった。建物だけでも億円を超える豪華なものが、ほんの二○○○三○○○万円で購入できるということだ。買い手は、売り主(大手企業)に恐縮しながら買ったのだが、ほとんど利用することなく管理費用だけが毎月かかって途方に暮れたという。「バブルのピーク時の何分の一です」という「悪魔のささやき」には十分の注意を払いたい。日本の不動産市場を取り巻く環境はもう昔には戻らないのだから、過去の価格は参考にはならない。毎年三月には地価公示が発表され、日本全体の地価動向の様子がわかり重宝する。ただし不動産取引の現場の実感と少し異なることもしばしば見られる。二○○三年の公示地価も下落傾向に変化はなく全体的に資産デフレの解消には程遠いものになっている。バブル崩壊後は一二年連続して下げたことになった。戦後半世紀を過ぎたが今回のように一○年を超えて下落した経験を我々はしたことがなかった。このような地価の長期にわたる下落傾向について、地価公示、路線価、基準地価など各種の価格発表時には、「長引く不況によって、まだ地価の下落に歯止めがかからない」というコメントがテレビのニュースや新聞記事についている。現在の日本の景気を考えるとつい納得してしまいそうになる。